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今週のJ3

第1027回 toto,mini toto,GOAL3|J2第23節/J3第18節

首位浮上の琉球は9位・秋田と対戦
富山はここ4試合1勝1分2敗と足踏み

2018年07月11日

■スペインでのプレー経験も持つ、琉球の背番号13

第15節から沼津、盛岡、藤枝を相手に怒涛の3連勝を記録し、とうとう首位に浮上した琉球。今節はディフェンディングチャンピオンながら、9位とやや苦しんでいる秋田のホームに乗り込みますが、このゲームではここ2試合で4得点を叩き出すなど絶好調と言って良さそうな、琉球の13番を背負う中川風希に注目したいと思います。

武南JYで技を磨く中学時代を過ごした中川は、その流れを汲んで名門の武南高校へ進学。高い技術を生かしたプレースタイルで1.5列目的な役割を担い、チームの攻撃陣の中心として躍動していました。彼が高校3年だった2013年はまだ高円宮杯プリンスリーグ関東が2部制だったこともあり、2部に所属していた武南の試合も何試合も見に行っており、そのプレーはハッキリと記憶に残っています。

当時の武南は2012年のインターハイで全国準優勝に輝いた際、今シーズンから東京武蔵野シティFCでプレーしている鈴木裕也など、3人の2年生が大会優秀選手に選ばれていました。最上級生となった彼らの評価は非常に高く、3年になってレギュラーを奪取した中川もテクニックやボールの引き出し方は十分に目を引くレベルにあり、個人的にはチームの中でも「一番面白いかなあ」と感じていた選手でした。

高校卒業後は関東学院大学に進学したものの、負傷もあってなかなか実戦経験を積めない日々が続きましたが、2015年に「『人生で1回くらいは海外でやってみたいな』と中学生くらいから思っていた」という夢を実行に移し、単身スペインへ。マドリードのバジェカスCFとCDベティス・サン・イシドロで2シーズンに渡ってプレーした後、テスト生を経て、昨年8月に琉球へ加入します。実は同い年のチームメイトでもある富樫佑太もスペインでのプレー経験者。時期的には重なっていないものの、2013年のプリンス関東で対戦していた2人が、ともにスペインという共通項を得ながら、沖縄の地で再会するというのも、不思議な運命を感じずにはいられません。

プロ契約を勝ち獲って臨んだ今シーズン。「今のチームで求められているのはボールを収める役割なので、正直得意ではないんですけど(笑)、自分なりに工夫しながら、やりやすいやり方を考えています」と話したように、4-2-3-1を採用するチームの最前線で起用されるなかで、開幕3試合で2得点と幸先良いスタートを切ります。6月以降は4-1-4-1の中盤センターを務めることが多く、攻守両面で高い貢献度を示しつつ、アシストも積み重ねていったものの、なかなかゴールに恵まない時期が続きます。

そんな中川が爆発したのは前々節のアウェイ盛岡戦。23分に播戸竜二のアシストから、リーグ戦では12試合ぶりのゴールを記録すると、80分には豪快なヘディングを叩き込んだ上に、終了間際の90+7分にも右からのクロスを受け、ダイレクトボレーをゴールネットへ突き刺し、圧巻のハットトリック。さらに前節の藤枝戦でも先制点を挙げれば、富樫佑太のゴールもアシストして、チームも3連勝を達成。これで6ゴール7アシストとなった中川が、琉球の重要なピースとなっていることに疑いの余地はありません。

秋田は前々節まで3戦無敗を続けていましたが、ホームで戦った前節の相模原戦は1-2で4試合ぶりの敗戦。ホーム連敗は許されない所です。ここは中川のさらなるブレイクを願いつつ、ゲームも勢いに乗る琉球が勝ち点3を、海を越えて持ち帰ると予想。「2」で勝負したいと考えています。

■帝京高校で頭角を現した、富山の22歳

前節は長野に0-5で大敗を喫し、今シーズン2度目の連勝を逃した15位の富山が、群馬戦が大雨の影響で延期になり、1週間ゲーム間隔が空いた5位の鳥取と対峙するホームゲーム。この一戦からは、ここ2試合続けて後半途中からピッチへ送り出され、ようやく自身の“シーズン開幕”を迎えた富山の22歳をご紹介します。

関根貴大や広瀬陸斗と浦和レッズジュニアユースで同級生だった柳下大樹は、2011年に名門のカナリア軍団・帝京高校へと入学。2年時からメンバーには絡んでいたものの、なかなか定位置を獲得するまでには至りませんでしたが、最上級生になってその圧倒的な高さを生かした得点感覚が開花。9番を背負ったセンターバックとして、都内でも知られる存在になっていきます。

春先から取材に行ったゲームのほとんどでゴールを決めていた柳下は、センターバックを基本ポジションに置きながら、得点が欲しい場面では最前線でプレーするなど、田中マルクス闘莉王を思わせる“DFW”的な立ち位置で、攻守におけるチームのキーマンに。とりわけヘディングの打点の高さと力強さは、間違いなく当時の都内ではナンバーワン。複数得点もざらにマークしながら、夏頃に見に行ったリーグ戦ではフォワード起用に応えて、ハットトリックを達成。その内訳も30mクラスのボレー、PK、ダイビングヘッドとバリエーション豊かなラインナップを誇るなど、その能力値を自らどんどん引き上げていった印象がありました。

当時から「高さが一番のストロングポイントで、そこで負けたら通用しなくなってしまうので」とストロングは認識済み。ややプレー中にイライラを見せるような一面もありましたが、そこもメンタルの強さとは紙一重の部分。ある意味でプロ向きの性格でもあった柳下は、帝京での3年間を経て、高卒ルーキーとして松本へ加入。熱狂的なサポーターが彩る緑の街で、プロキャリアをスタートさせます。

「高校だったらミスして当たり前という所も、絶対ミスしてはいけないですし、そのへんは凄いなと思いますね」とプロのトレーニングの感想を口にしていた1年目は、8月にリーグ戦デビューこそ飾ったものの、3試合に途中出場してノーゴール。2015年はクラブの昇格とともにチャレンジが期待されたJ1でしたが、公式戦での出場機会は最後まで訪れず、プロ3年目の2016年シーズンもリーグ戦での出場は1試合もなし。翌シーズンからは富山へ新天地を求め、完全移籍でサッカーキャリアの勝負に打って出ました。

迎えた2017年シーズン。フォワード起用が増えていくなかで、第15節の北九州戦ではJ-22の選手としてマークして以来、リーグ戦では2年ぶりのゴールを記録。第19節のF東京U-23戦でも途中出場でゴールを奪うなど、ようやく存在感を発揮しつつあったものの、終盤戦は負傷離脱。思うようなシーズンを送れたとは言えないパフォーマンスだったことは、本人が誰よりもわかっていた部分でしょう。

今シーズンも序盤戦は棒に振りながら、5月末からベンチに入り始め、前々節の群馬戦で59分からリーグ戦初出場。左ウイングバックの位置に入り、1点リードで突入した後半アディショナルにも相手CKをきっちりクリアして、持ち味の一端を披露しましたが、前節の長野戦は3点ビハインドの72分から3バックの右に投入されるも、チームはその後も2点を奪われ、0-5で完敗。ただ、柳下にはあと一歩で決定機というシーンは訪れていただけに、ここからの結果という意味での巻き返しに期待したい所です。

監督交替後は一気に流れが好転したかに見えた富山でしたが、ここ4試合は1勝1分2敗とやや足踏み状態。ホームでの勝ち点3獲得はマストとも言えそうです。鳥取の状況を考えると、今節も厳しい試合展開が予想されますが、柳下の登場も願いつつ、ここは富山の意地を信じる結論に。ホーム勝利の「1」にマークします!

【プロフィール】 土屋雅史(つちや・まさし) 1979年8月18日生まれ、群馬県出身。株式会社ジェイ・スポーツ制作部第3制作チームプロデューサー。2003年の入社以来、WORLD SOCCER NEWS『Foot!』スタッフを8年間務め、2011年よりJリーグ中継担当プロデューサーに。最多年間観戦試合数は現場、TV中継を含めて1000試合を超え、国内外を問わずサッカー事情に精通している。
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