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今週のJ3

第995回 toto,mini toto,GOAL3|J3第4節/J2第6節

“東北ダービー”はアウェイ福島の勝利が本命
9位の北九州は話題のスタジアムに注目!

2018年03月22日

■今季キャプテンに指名された、35歳のミッドフィルダー

開幕節は逆転勝利を収めながら、前々節はアウェイで逆転負けを喫し、前節はホームでスコアレスドロー。ここまで1勝1分1敗で7位につけている福島が、昨季J3王者でもある15位秋田のホームに乗り込む一戦。今回のゲームでは、福島のバンディエラ的な存在になりつつあるレフティをご紹介したいと思います。

今季で在籍8年目を迎えるMF石堂和人は現在35歳。佐野日大高校、帝京大学を経て、2005年にはAC長野パルセイロの前身に当たる長野エルザSCに加入。2006年のシーズン途中には松本へと“禁断の移籍”を果たすものの、所属はその年いっぱい。翌シーズンからは当時の長野、松本同様に地域リーグを戦っていた町田でプレーすることになります。

当時の町田は関東1部リーグに昇格したばかりでしたが、すぐさまリーグ優勝を果たし、その後も一気にJFLまで駆け上がっていったような勢いのある時代。津田和樹や柳崎祥平、FW勝又慶典、酒井良などJリーグ参入時代までチームを支えるようなチームメイトと共に、石堂も中心選手として中盤でタクトを振るいます。

ただ、2010年シーズンには出場機会が激減し、福島への移籍を決断。再び地域リーグからのリスタートを期しましたが、そのタイミングで東日本大震災を経験することになります。「福島に来てちょうど1ヶ月後に震災があったんですけど、あの時を忘れたことはないですし、そういう気持ちというのは常に持ってプレーしているつもりです」と言い切る石堂。2011年、2012年と東北1部リーグを連覇した福島は、2013年にJFLへ昇格すると、2014年には創設されたばかりのJ3への参入が決定。大学を卒業してちょうど10年目。石堂は31歳にして、とうとうJリーガーとしてのキャリアをスタートさせました。

それから5年。「今年高卒で入ってきたのなんて年齢が半分ですからね。ビックリですよ。『僕が高校生の時に生まれてきた選手たちとやるんだ』みたいな」と笑った石堂は、2018年シーズンに臨む福島のキャプテンに就任。「僕の場合はキャプテンになる、ならない、にかかわらず、常に全力でやるのがスタイルなので、変わらずチームを引っ張っていく気持ちでやっていきたいと思います」とは言いながら、より一層の責任感を携えて新シーズンを迎えているはずです。

前節は雪の中でのホームゲームで、鹿児島と勝ち点1を分け合った福島。第3節を終えて、石堂もすべての試合でベンチには入っているものの、ここまで出場時間はゼロ。プレーヤーとして悔しい想いを抱えていることは想像に難くありません。それでも、今季の開幕前に「僕はこの福島に拾ってもらった時点で『やれる所までやりたい』というのはありましたし、チームのために力になれるんだったら、やっぱり戦力外を受けるまでは、好きなサッカーですし、人生1回ですし、『続けていきたいな』というのは本音ですね」と語った35歳の力が必要になる時は必ず来るはず。その時に100%の力を発揮するため、石堂はきっと100%の日常を送っていることでしょう。

今節で対戦する秋田は、開幕節こそC大阪U-23に1-0で勝利したものの、ここ2試合は群馬、G大阪U-23に連敗しており、まさかの15位に沈む意外なシーズンスタートになりましたが、ようやく4試合目にして迎えたホーム開幕戦に、初勝利への気合いも十分であることは間違いない所。楽しみな“東北ダービー”は、石堂のシーズン初出場にも注目しつつ、今の双方のバイオリズムも考慮して、アウェイの福島が意地を見せる「2」で勝負します!

■評判の“ミクスタ”に行ってみた!

前節は東京五輪を控えるU-21日本代表候補のDF浦田樹が決勝ゴールを叩き込み、アウェイで藤枝から勝ち点3を持ち帰った9位の北九州。ホームに迎えるのは、前節こそまさかの“雪の影響”でゲームが中止になってしまったものの、開幕2連勝と昨季同様に期待感を抱かせるスタートを切った3位の沼津。このゲームはあえて、個人的に国内屈指のスタジアムだと感じている、ミクニワールドスタジアム北九州にスポットを当ててみたいと考えています。

北九州のホームスタジアムとしては、2017年3月12日のJ3開幕節で『グランドオープン』を迎えた“ミクスタ”。前々から非常に評判が良かったこともあって、先日ついに“ミクスタ”デビューをしてきました(笑)。

まずアクセスが抜群で、山陽・九州新幹線の小倉駅から徒歩で10分以内という近さ! 新幹線の駅が最寄り駅というと、岡山のシティライトスタジアムが思い浮かびますが、あるいはCスタよりも肌感覚としては近いほど。まず、アクセスだけで大きなアドバンテージを手にしていると言えそうです。

そして、実際にスタジアムへ入ってみると、とにかくピッチが近い! スタンドの最前列からゴールラインやタッチラインまでの距離はたったの8メートル。私もゴール裏とバックスタンドに行ってみましたが、臨場感は「凄い!」の一言。シュート練習のボールが枠を外れてこようものなら、目の前に白黒の球体が迫りくるぐらいの近距離。その距離感が相当な迫力を持って、観衆に興奮を与えてくれることは間違いありません。

そんな中で、ある1人の年配の方とお話しさせていただく機会がありました。この日のアウェイサポーターは、ゴール裏の端の部分にそのスペースが与えられており、それ以外は誰でも入れる自由席に。その方はまさにゴールの真後ろに1人で座ってらっしゃいました。以前は福岡に住んでいたものの、北九州に引っ越してきたことでサッカーに興味を持ち、昨季の途中からスタジアムを訪れるようになったそうで、今季は既にシーズンパスを購入済み。いくつかのギラヴァンツグッズも揃え、見た目は完全にサポーターのそれでした。

なぜいわゆる“アウェイ”側のゴール裏にいらっしゃるのかお聞きした所、「向こう(ホーム側)は飛んだり跳ねたりするし、席も何となく決まっている感じだからね。こっちだと年寄りは静かに応援できるからさ」とのこと。とりわけ「点が入るか入らないかだから、みんな必死になっているのが近くで見える」ゴールの真後ろがお気に入りで、最近はいつもそこに座っているそうです。

お話を伺っていると、かなり鋭い視点も。去年の北九州は後半に息切れする傾向が強かったらしく、「こっちのゴールには結構決めるんだけど、向こうのゴールにはあんまり入らないんだよ(笑)」とポツリ。確かにコイントスでエンドが変わらない限り、北九州が前半攻めてくるのは、その方の目の前のゴール方向。調べてみれば、昨季の後半戦に限っては、ホーム8試合の中で後半に点が入ったのは3試合。スタジアムに通う方の視点は勉強になることが多いですね。

「もちろんJ2、J1って上がっていって欲しいけど、今みたいにそこまで観客が多くないと、こういう所で見れるから、そこは難しい所だね」と笑って話してくれた、その方の目の前のゴールでは、その日2つのゴールが生まれましたが、1つは予言通りに北九州の同点弾で、もう1つは琉球の決勝弾。それぞれのゴールを、あるいはスタジアムの観客の中でも最も近くで目撃したあの方は、どんな感情を携えて帰路に就かれたのでしょうか。これからミクスタのゲームを見る時は、ついついアウェイゴール裏の“あの位置”を探してしまいそうな気がしています。

北九州にとって今季のミクスタ初勝利を狙う今節は、難敵の沼津が相手ということもあって、好ゲームが期待されますが、雪でのゲーム中止により、ある意味で“休養十分”となった沼津のコンディションとモチベーションはおそらく十分。あの方のためにも前半の北九州のゴールを期待しながら、ゲームはアウェイ勝利を予想し、「2」にマークします!

【プロフィール】 土屋雅史(つちや・まさし) 1979年8月18日生まれ、群馬県出身。株式会社ジェイ・スポーツ制作部第3制作チームプロデューサー。2003年の入社以来、WORLD SOCCER NEWS『Foot!』スタッフを8年間務め、2011年よりJリーグ中継担当プロデューサーに。最多年間観戦試合数は現場、TV中継を含めて1000試合を超え、国内外を問わずサッカー事情に精通している。
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