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今週のJ2

第1029回 toto,mini toto,GOAL3|J2第24節/J1第17節

山口vs水戸では“兄弟対決”の可能性も
山形vs新潟は、やや山形が優位と予想

2018年07月18日

■長らく同じチームで苦楽をともにした“前ブラザース”

リーグ戦ここ4試合は勝利がなく、4位に後退した山口と、こちらは4戦無敗で14位までジワジワと順位を上げてきた水戸が、維新みらいふスタジアムで対峙する第24節。このゲームでは、人生初の兄弟対決を迎える可能性を有した“前ブラザース”にフィーチャーしたいと考えています。

1993年生まれの前貴之と、1995年生まれの前寛之は、2歳違いの兄弟。札幌市で生まれ、コンサドーレ札幌のジュニアサッカースクール、U-12、U-15、U-18とまったく同じキャリアを辿って、ともにトップチーム昇格を勝ち獲ります。

貴之のU-18時代で個人的に印象深いのは2011年12月のこと。優勝を懸けて臨んだ高円宮杯プレミアリーグEAST最終節のF東京U-18戦。同級生の奈良竜樹や荒野拓馬、1学年下の堀米悠斗や中原彰吾など、トップチーム昇格を果たす8人がスタメンに名を連ねたゲームで、普段は左サイドバックを務めることの多かった貴之は、チームメイトの出場停止を受けて右サイドバックに入りながら、流れの中でもサイドで基点を作りつつ、プレースキッカーとしても相手ゴール前を脅かし続けます。

そして、1-1の同点で迎えた84分。FKのスポットに立った貴之のキックは、ピンポイントで中原の頭を捉え、このゴールが決勝点。実は夏過ぎから首位をキープしながら、最終節を前に東京Vユースと入れ替わって2位に落ちていた札幌U-18でしたが、F東京U-18相手に勝利を収めた直後、他会場の東京Vユース敗戦の報が。大逆転でのEAST制覇に大喜びする貴之を含めた札幌U-18の選手たちのことは、今でも鮮明に記憶しています。

それから7年。貴之と寛之はそれぞれ2012年と2014年にトップチームへ昇格し、揃って2014年シーズンに期限付き移籍を経験しながらも、一貫して札幌でともにプレーしてきましたが、兄は昨シーズンに期限付き移籍で加わった山口へ、今シーズンから完全移籍。弟も水戸へと期限付きで移籍したことで、同じJ2のカテゴリーで戦う2人に、直接対決の可能性が浮上したという訳です。

2018年シーズンが幕を開けると、「ずっと交替なしで出させてもらっているし、そういう数字の所はかなり充実感がありますけど、最近は自分の所を消されることもあるので、それ以上のパフォーマンスができているかという所では、自分に物足りなさは感じています」と話す貴之ですが、ここまでのリーグ戦では開幕からフルタイム出場を続けており、完全な主力選手としてチームを支える存在に。一方、けがで出遅れていた寛之も、第13節の徳島戦で水戸デビューを飾ると、以降はドイスボランチの一角としてレギュラーに定着。試合を追うごとに存在感を高めてきました。

実は前節の東京V戦までに警告累積が3枚だった貴之。「今までずっと一緒のチームでやってきて、初めて外に弟が出て、対戦する可能性があることは意識してきたなかで、もちろん危ない時は警告をもらうような気持ちではいましたけど、試合に負けたのは悔しいのと同時に、警告をもらわず終わったのは良かったです」と少し本音も。水戸戦に出場する条件は整ったなかで、「今まで試合に出ていますけど、また次も出られるという保証はないので、1週間準備していきたいと思います」と話すあたりに、十分な主力の自覚も窺えます。

今回の“初対決”は父親も観戦予定。「どういう気持ちで見るんですかね?」と笑った貴之は、「もっと活躍して、もっと親孝行したいですけどね」と続けてきっぱり。「水戸戦、楽しみですね。負けたくはないですよ。危ない時は相手が弟でも削りにいくし、確かに弟はいますけど、そこばかり気にせず、けがをしないでその日を迎えたいです」と言い切った貴之と寛之の“初対決”には、是非多くの方に注目していただきたいと思います。

そんな“前ブラザース”のトピックスも内包した一戦ですが、やや結果という意味での停滞感が出てきた山口にとって、上昇気流に乗り始めている水戸が相手とはいえ、簡単に負ける訳にはいかない所。ここは山口と“兄”がホームで意地を見せ、勝ち点3を獲得すると予想。「1」にマークします!

■筑波大学時代の同級生が、山形と新潟に分かれて火花を散らす

前節はリーグ戦で11試合ぶりの黒星を喫した10位の山形と、同じく前節で横浜Cにホームで敗れ、5戦未勝利となった17位の新潟が激突する一戦。この90分間からは、ルーキーイヤーながら山形と新潟で出場機会を掴んでいる、筑波大学時代の同級生に注目したいと思います。

年代別代表の常連でもあり、名古屋U-18ではエースを託されながらもトップチーム昇格は見送られた北川柊斗と、浦和ジュニアユースから市立浦和高校へ進み、3年時の高校選手権では10番を背負って、全国でゴールも記録した戸嶋祥郎。2人は2014年に名門として知られる筑波大学の門を叩きます。

前期リーグの開幕戦からスタメンに抜擢され、フォワードの定位置を獲得した北川に対し、一般受験組の戸嶋は入学当初こそ登録メンバー入りを逃したものの、後期に入ると初めてベンチ入りしたゲームで、いきなりリーグ戦デビュー。逆に北川はベンチスタートが増えるなか、戸嶋は2試合連続ゴールを挙げるなど、チームの重要なピースとして躍動してみせます。

2部を戦うことになった2015年と、1部に復帰してリーグ2位へと躍進し、インカレでは日本一に輝いた2016年を、ともに主力として戦い抜いた北川と戸嶋。最高学年となった2017年シーズンの筑波大は、13年ぶりとなる念願のリーグタイトルを奪い取り、戸嶋はMVPにも選出されるなど、名実ともに大学界屈指のプレーヤーに。そして北川は山形へ、戸嶋は新潟への加入を決断。Jリーガーとして、新たな道への一歩を踏み出すことになりました。

プロの世界でも先にプレー機会を手にしたのは北川。第3節の熊本戦でJリーグデビューを飾ると、シーズン2度目のスタメンとなった第8節の愛媛戦では、豪快なシュートで初ゴールも記録。フォワードのイメージが強い北川ですが、サイドから仕掛ける左ウイングバックという新境地を開拓し、出場時間を伸ばしていきます。

対する戸嶋はルヴァン杯で経験を積みつつも、リーグ戦では第6節の徳島戦でデビューを勝ち獲ります。以降はベンチとベンチ外を繰り返す日々が続きますが、第13節の大分戦で久々に先発出場のチャンスをもらうと、チームは負けたものの、以降は主にサイドハーフを任されながら、インサイドハーフもこなせる器用さとアグレッシブさを生かして、完全にスタメンの地位を確保しました。

両チームの前節を見てみると、北川がベンチスタートだった山形は、チャンスの数こそ多く創りながら、栃木のGK竹重安希彦とクロスバーに阻まれ続け、0-1で無念の黒星。戸嶋が右サイドハーフでスタメン出場した新潟も、前半こそ押し気味にゲームを進めましたが、1点が遠いまま横浜Cに0-1で敗戦。お互い連敗を避けたい一戦であることは間違いありません。

なお、山形と新潟の前回対戦は第15節のビッグスワン。大卒ルーキーの2人が揃ってキックオフの笛をピッチ上で聞いた90分間の結果は、スコアレスドローに終わっています。今節は、そんな北川と戸嶋の再会にも期待しつつ、チームのバイオリズム的にはやや山形が優位と予想。ホームチームの勝利を意味する「1」で勝負します!

【プロフィール】 土屋雅史(つちや・まさし) 1979年8月18日生まれ、群馬県出身。株式会社ジェイ・スポーツ制作部第3制作チームプロデューサー。2003年の入社以来、WORLD SOCCER NEWS『Foot!』スタッフを8年間務め、2011年よりJリーグ中継担当プロデューサーに。最多年間観戦試合数は現場、TV中継を含めて1000試合を超え、国内外を問わずサッカー事情に精通している。
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