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えのきどいちろう流 検討にあたいする
【えのきどいちろう】'59年、秋田県出身。中央大学在学中の'80年、『宝島』誌にて商業誌デビュー、以後、フリーのコラムニストとして数多くの新聞・雑誌で健筆をふるう。'01年、『ワールドカップジャーナル』(スカパー)のMCを務め、又、『サッカーマガジン』の連載を開始し、人気を博す。好きなお寿司はカンパチ。

第467回 toto|天皇杯・2回戦

日本サッカーはもっと奥行きがある
色んな見方をした方がサッカーは面白い

2010年09月02日

 J1第21節、僕は横浜M×新潟(日産)を見に行ったんですけど、中村俊輔がすごかったですね。特にあえて右足で打った2点目のゴール。南アで活躍できなかったことで「終わった選手」扱いする新聞もあるけど、ぜんぜんそんなことないですよ。コンディションさえ整えれば、依然としてスーパーな活躍をする。メディアはレッテルを張るのが好きですよね。俊輔を国内で見られるJは素晴らしいと思った。

 そういえば今週は大原へ山田暢久(浦和)の取材にも行ったんです。山田暢久ってものすごくないですか。今シーズンはセンターバックやらされてるんだけど、フツーにやっちゃってるでしょう。僕は「あなた、自分が天才だって気がついてますか?」と尋ねてしまった。本職のCBが試合にフィットするのに何年もかかったりするんですよ。一体、山田は何でできちゃうのか。これまでGK以外の全てのポジションを経験している選手です。僕は山田暢久が見られるJも素晴らしいと思いますよ。

 Jリーグはインターナショナル・マッチデーの関係で休みに入ります。世間の目はザッケローニ新体制の日本代表へ移っている。だからわざわざ非・選出の2人のプレーヤーの話をさせてもらいました。日本サッカーはもっと奥行きがあるんじゃないかと僕は思うのです。天才が忘れられている。

 まぁ、僕は原博実さんのファンだから週末のパラグアイ戦は何をおいても駈けつけるつもりです。席も一般席です。幻の「ヒロミジャパン」を楽しみにしている。だけど、世間的には「W杯ヒーロー本田の凱旋」でしょう。代表人気が沸騰するのはいいことだけど、ちょっとどうなんかなぁという感じもします。

 これはライターの習性かもわかんないけど、脚光を浴びそこなった選手がめっちゃ気になるんですよ。ま、俊輔もその一人だし、香川もそうでしょう。本田のライバルだった家長もそうですね。そこに物語を見てしまう。いや、色んな見方をした方がサッカーは面白いですから。

 あと天皇杯にも奥行きを感じます。読者は「J以外のクラブの視点からJを見たこと」があるでしょうか。ま、格の話をすると下から見たJです。これはね、びっくりするほど違って見えるんですよ。例えば今週、天皇杯1回戦が行われて、中1日で2回戦じゃないですか。この猛暑のなか中1日ですよ。下から勝ち上がるのは本当にとんでもない日程を戦わなきゃならない。そうすると(今年は)2回戦でJクラブ登場です。1週休んで調整してきている。

 「ジャイアントキリングが天皇杯の魅力」なんてカンタンに言うけど、それはとんでもないことなんですよ。下から来たチームはクタクタで勝ったわけです。その超過密日程も、例えば夏休み期間じゃないと仕事が休めないとか、現実的な制約から逆算して出来上がったものだったりする。アップセット食らうJチームは、負けてはいけないところに負けてるわけです。アップセッターは一種、火事場のナントカみたいな底力で勝つわけです。ホントにね、知れば知るほどサッカーは深いです。

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