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えのきどいちろう流 検討にあたいする
【えのきどいちろう】'59年、秋田県出身。中央大学在学中の'80年、『宝島』誌にて商業誌デビュー、以後、フリーのコラムニストとして数多くの新聞・雑誌で健筆をふるう。'01年、『ワールドカップジャーナル』(スカパー)のMCを務め、又、『サッカーマガジン』の連載を開始し、人気を博す。好きなお寿司はカンパチ。

第461回 toto|J1第17節/J2第21節

雪国から見ると秋春制はあり得ない
心配なのはプロ野球のような方向性

2010年08月06日

 日本サッカー協会の小倉・新会長がAFCのインタビューで秋春制導入について、前任者・犬飼さんの路線を継続する考えであることを語っています。犬飼さんの(外部からはよーわからん)「失脚劇」によって終結したかに見えた秋春制が又、浮上してきたんですね。

 この問題についての僕の立場をまず明確にしておきます。反対です。雪国を多く持つ日本の気候に合わないというのが、最もシンプルな理由です。僕は出生地が秋田県で、両親ともに東京の出身だから「東京出身」とした方がわかりやすいところを、わざわざプロフィール等、「秋田県出身」で通してる人間です。生後1年しか暮らしていない父の転勤先について、強いこだわりを持っている。現在、継続的に追いかけているアルビレックス新潟も雪国のクラブです。雪国から見ると、秋春制はあり得ない。

 まず新潟のように既にJクラブを成立させている街のことを考えます。経済的に見合わない。ドームスタジアムを建造するような莫大なコストが最終的には必要でしょう。仮にそれが調達できたとして、ドーム練習場も用意するのか。試合開催時、観客の輸送はストップしないのか。あるいは、過渡期的なプランとしてよく言われる「降雪期のアウェイ開催」で、シーズン中、長く生観戦から遠ざかってしまう観客の意識低下(この場合、懸念されるのは、地元ライト層です。コアサポは大丈夫だと思いますが、ライト層は絶えず目の前に話題がないと離れてしまいます)はどうなのか。

 それでも、まだ新潟は恵まれてるとも言えます。クラブのことを真剣に考える多くのサポーターに支えられている。例えば秋田です。まだJクラブは存在しない。だけど、秋田にだってサッカーを愛する人がいて、将来、Jクラブが誕生しないかなぁと夢見ていると思います。秋春制になったら、それは絶望的にハードルが上げてしまうことになるでしょう。新潟のような実績もないところで、あらゆるインフラを実現させる算段が必要になる。現状では雪国だけ損するような話です。

 僕は日本のプロサッカーは、日本の風土に合ったものである方が自然だと思います。風土の多様性に立脚したものである方が豊かだと思います。僕が一番心配するのは、秋春制の示すベクトルが結局、「ドーム球場ばかりになってしまったプロ野球」のような方向性に行き着きかねないところです。インフラとか、コスト面のデメリットは結局、お金が用意できればどうにかなるみたいな響きを持ちます。わかんないけど、突然、日本のあちこちで原油が採掘されて、石油産出国になったら解決するみたいなことでしょう。だけど、そうなったらドームスタジアムばっかりになりますよ。今みたいな猛暑だってドームなら解決ですよ。多目的に使えるからテナントビジネスとしても稼動率がいい。

 プロ野球はね、ドーム球場ばかりになって本当につまんなくなりました。風とか雨とか、ゲームを構成する要素が減ってしまった。内野手のゴロを読む力も低下した。幸いサッカーは天然芝が必要だから、少なくとも開閉式のドームスタジアムにはなるでしょう。か、札幌ドームのように芝を出し入れするか。これは雪国に作ったら間違いなくいずれ首都圏にも出来ます。観客が寒くないもん。そしたら、つまんないことになりますよ。風土に合った進み方が正しいと思いますよ。

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